偽りの不正受給は3倍返し!第三者からの密告でばれることが多い
失業保険の不正受給に該当する10例
失業保険を受ける資格がないにも関わらず、偽りの申告をした場合は不正受給となります。今後の支給がすべて停止され、今までの給付金の返還義務が生じ、最悪の場合は詐欺として立件されるといった厳しい処分が行われます。
そのため、雇用保険被保険者離職票や求職申込書、失業認定申告書など、ハローワークに提出する書類には、事実を正確に記入する義務があります。
不正受給のよくある例は以下の10件です。その多くが「求職活動で虚偽の実績を申告する」や「アルバイトの収入を申告しない」など、失業認定申告書の内容を改ざんするケースになります。
- 実態のない求職活動を申告する
- 就職先が決まっている事実を隠す
- 会社の役員に就任したことを隠す
- パートやアルバイトの実績を隠す
- 内職や手伝いなどの収入源を隠す
- 休業補償給付や傷病手当金の受給を隠す
- 収入額を過少申告する
- 準備も含めて自営業の開始を隠す
- 雇用保険受給資格者証を他人に貸す
- 定年後に再就職の意思があると偽る
不正受給する動機は主に「働く意思がない状態でお金が欲しい」や「収入がある状態でお金が欲しい」です。ただ、その代償は大きく、不正受給がばれた人は次の罰則が科されることになります。
不正受給で科される5つの処分内容
失業保険の支給が停止される
失業認定申告書にて不正行為が発覚した場合、最初に不正を行ったと認定された日以降の失業保険が一切支給されなくなります。
受給した失業保険を返還する
不正行為をして受け取った金額については全額返還を命じられ、即刻で返還する義務が生じます。
受給した金額の倍を納付する
悪質な不正行為が発覚した場合は、受給額の2倍の金額を納付するように命じられます。受給した失業保険の返還分と合わせると3倍の金額を負担します。
偽りその他不正の行為により失業等給付の支給を受けた者がある場合には、政府は、その者に対して、支給した失業等給付の全部又は一部を返還することを命ずることができ、また、厚生労働大臣の定める基準により、当該偽りその他不正の行為により支給を受けた失業等給付の額の二倍に相当する額以下の金額を納付することを命ずることができる。
返還しないと延滞金が加わる
返還や納付を命じた額を正しく処理しない場合、延滞金が加算されます。延滞金が加算されても支払いを拒む場合、財産の差し押さえが行われます。
詐欺罪として刑事告訴される
不正受給の内容やその後の対応が悪質な場合、詐欺罪として刑事告訴されます。仮に不正受給がすぐに発覚しなくても、データはいつでも参照できますし、事件発生から20年間は時効となりません。
ちなみに不正受給がばれる原因は「第三者からハローワークに電話にて密告が来る、ハローワークの職員による内部調査で発覚する、雇用先の納税履歴から虚偽が判明する」などです。
よくある質問と回答
──収入を隠す行為はばれますか?
ばれる可能性が高いです。現在はアルバイトの雇用先のみではなく、ライターやデザイナーといったフリーランスの人が報酬を受け取るときも、支払調書にはマイナンバー(個人番号)の記載が必要になりました。
一方、失業保険の申請時にもマイナンバーを記載します。2016年以降はそのマイナンバー同士をマッチングして、不正受給が発覚する事例が出ています。また、ハローワークから連絡が来る時期は、不正受給の翌年以降です。
──アルバイトで収入を得ると失業保険が貰えませんか?
収入があっても減額されるのみで失業保険は受け取れます。ただし、一定金額以上の収入があると、失業保険の給付額を超えてしまうため、失業保険が受け取れなくなります。
──働いても収入が0円のときは申告は不要ですか?
失業認定申告書の記載は必要です。これはその期間に求職活動ができなかったことを報告するためです。
──株式投資や不要品処分で得た収入も申告しますか?
株式投資や不要品処分は就職、労働、事業のいずれにも該当しないため、失業認定申告書に記載する必要はありません。ただし、それらに継続性があり、事業として認定されるときは申告します。